
親や親族が暮らす介護施設を探す場合に、真っ先に候補に上がるのが特別養護老人ホーム(特養)ではないでしょうか?
重度の人でも受け入れ可能で最期まで長期的に入居でき、何より経済的負担が少ないということから人気の施設です。
特養のホーム数は全国に約8千施設、居室数は老人ホームより多い約51万室あるので、簡単に入居できると思われるかもしれませんが、とにかく人気があるのでどの施設でも入居待ちの状態が続いています。
目次
特養の入居条件
特養の入居条件としては、原則として「65歳以上で要介護3~5」とされています。
以前は要介護1~2の方も受け入れていましたが、介護保険制度の見直しにより2015年度から原則として要介護3以上でないと入居できない様になりました。
要介護認定を受けなければいけないので、当然ながら事前に介護保険の申請をして認定を受ける必要があります。
申請から認定されるまでおよそ1か月程度はかかるので、親や親族などを特養に入居させたいと思われるのでしたら1日でも早く申請を出してください。
介護保険の申請の仕方については「介護保険の申請から認定されるまでの流れ」を参考にして下さい。
要介護1~2の方は入居できない?
あくまで「原則」となっているので、要介護1~2の方でも、やむを得ない事情がある場合や他の介護施設での生活が困難だと判断された場合は入居できるケースもあります。
但し、後に説明していますが、入居の優先順位として重度の要介護者が挙げられているので、比較的軽度どされる要介護1~2の方は入居を後回しにされる可能性が非常に高いので現実的に入居は難しいと考えられます。

介護保険制度の見直しがされる2015年以前の2014年の時点で、要介護1~2の入居割合が1割程しかいません
特養は待機者が多いことで有名
ニュース番組でもよく取り上げられており問題になっていますが、特養は初期費用がかからなく月額利用料も安価なことから人気があり、とにかく待機者が多いことで有名です。
これは実際に申込みをしたことがある方ならお分かりいただけるでしょう・・・
先ほど居室数は約51万室と言いましたが、待機者も居室数と同じ51万人いると言われています。各施設で数十人~数百人の待機者が入居を待っている状況が続いています。
入居が優先される要介護者
- 重度の要介護者
- 早急な対応が必要な方
- 生活が困難な方
重度の要介護者
当然ながら要介護3よりも4、4よりも5の方が優先されます。現実的には要介護4以上の方でないと入居は難しい状況です。
また日常生活に支障をきたす、重度の認知症の要介護者は優先されます。
早急な対応が必要な方
例えば、これまで自宅で介護をしてくれていた介護者が急死したとか、他の介護施設に入居していたけどその施設が無くなって生活する場所が無くなったなど、生活状況が一変して緊急性が高い場合は優先して入居できる場合があります。
生活が困難な方
一人暮らしで介護者県外に住んでいる場合や、同居人はいるけど高齢などの理由で現実的に介護が難しいなどの理由がある場合は優先されます。
また入居に対して所得の制限はありませんが、経済的な理由で他の介護施設への入居が困難だと判断された場合は、優先して入居することができる可能性があります。
ポイント制の導入が増えている
上記の様に特養では先着順ではなく、生活に困っている方から優先して入居できるシステムになっています。
と言っても何を基準に優先度を決めるのか難しいので、多くの自治体では介護の重要度(介護の割合、家族・住まいの状況)を点数にして判定基準を設けています。
例えば北九州市の場合、身寄りが誰も無い場合で80点、身寄りはいるけどその人も要介護認定を受けている・県外に暮らしているなどで実質的に介護者がいない場合で70点、介護者が県内に暮らしている場合で20点など、介護の重要度が高いほどポイントが高くなり、ポイントが高い方から優先的に入居できるシステムになっています。
早く入居するためのコツ
複数申し込む
特養を探す場合に一番条件のよい施設1ヵ所に申込んで満足される方もいますが、よほど介護の重要度が高くない限りすぐに入居することは難しいです。
ですので、とにかく条件にあった施設を複数申し込んでおきましょう。
状況が悪化すればすぐに伝える
よく親の介護度合いが悪化してもそのままにしている方もいますが、先ほども申した通り介護の重要度が高い方から優先して入居することができるシステムになっているので、状況が変わった場合は再申込みすることで優先的に入居できる確率がアップします。
施設を利用してみる
入居したい施設が決まっている場合は、入居前にその施設のデイサービスやショートステイを利用して施設で働く職員との人間関係を築いておくことをスムーズな入居の手助けになる可能性があります。
もちろんコネで入居を早めることは難しいですが、馴染みの関係を築くことで、その施設の待機者の状況やどういった判断基準で優先されるのかの情報を得ることができるだけでも効果はあります。
同居を控える
先ほどの北九州市を例にとると、介護者が別居している場合で県内だと20点、県外だと80点が加算されます。
介護者が同居している場合は、介護の優先度が低くなるので入居まで時間を要する可能性が高くなります、ですので、現在別居しているけど介護の為に同居を考えている方は慎重になって考えなけえばいけません。
まずは担当のケアマネに相談してみて下さい。
本当の待機者は意外と少ない??
複数の施設に申込んでいる方もいるし、「今すぐ入居はしなくていいけど介護認定を受けたからとりあえず申込んでおこう!」って方も少なからずいるので、実際に待機者はそこまで多くない施設もあります。

実際の待機者は1/3程度という情報もあるので、待機者が多いからと言って諦めずに、とにかく申込んでみるということが大事です。申込みは無料ですからバンバンしちゃってください!